松尾形成外科・眼瞼クリニック

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まぶたの縁がショボショボ閉じようとする

開瞼失行(開瞼失行)

開瞼失行とは「まぶたを開ける行為が失われる」
「まぶたを開けてる時、
まぶたを閉じる筋肉も縮んでしまう」
という意味です。

まぶたを開ける筋肉(上眼瞼挙筋)が縮んでまぶたを開けてるとき、上下のまぶたの縁を一周するまぶたを閉じる筋肉(眼輪筋眼瞼部)が縮んで邪魔している状態です。

強くまぶたを閉じて、ゆっくりまぶたを開けると、まぶたの縁を閉じる筋肉がしばらく縮んだままになり、まぶたがくっついてしまったり、突っ張ったりゴロゴロしたり、まぶたの縁を閉じる筋肉と開ける筋肉の間で戦いが起こり、パタパタ、ショボショボします。まぶたを閉じてもまぶたの縁がうごめいています。

どうして、上下のまぶたの縁を一周してまぶたが閉じる筋肉(眼輪筋眼瞼部)が強く縮むようになるのでしょうか?

原因
 ソフトコンタクトレンズ着用や点眼するときなど、下まぶたを下向きに引っ張ったり、スイミングゴーグルで引っ張リ、花粉症やアトピー性皮膚炎で下まぶたも擦ったりすると、下まぶたを下げる牽引腱膜が瞼板より外れて、下まぶたを下げれなくなるので、下方視できなくるので階段が降りにくなったり、本が読みにくくなったりします。下まぶたの縁が挙がりカマボコ目になり、下まぶたのミュラー筋のセンサーが強く引っ張られるようになると眼輪筋眼瞼部が強く収縮するようになるのでまぶたを閉じたくなるのです。
 最近ですと、下眼瞼の脱脂術で、まぶたの裏から切開する際に、下まぶたを下げる牽引腱膜が瞼板より外れてしまいます。そうするとまぶたの縁がショボショボ閉じようとする開瞼失行になってしまう人もいます。瞼を開ける力と瞼を閉じる力のバランスの上で、閉じる力強くなり眼瞼下垂になってしまう人もいます。

症状
 まぶたを開けている時に、同時にまぶたの縁が縮んでいるので、強い力で上まぶたを開けいているので、瞳孔が大きくなるので眩しい、まばたきが閉じないのでドライアイ、眉毛を挙げるので緊張型頭痛、肩こりがあります。

 上下のまぶたの縁を一周するまぶたを閉じる筋肉(眼輪筋眼瞼部)が強く縮むようになりショボショボすると、下まぶただけでなく、上まぶたも開きにくくなり、上まぶたを開けて上まぶたのミュラー筋を引っ張って青斑核を刺激して脳を起こす回路に、サイドブレーキがかかった状態になり、頭がスッキリしなくなり眠くなってしまうのです。下を向くと、下まぶたのセンサーを引っ張るので、上まぶたは下がり、さらに眠くなってしまうのです。ナルコレプシーと間違えられる人もいます。下方視の際、強くまぶたを開けて遠くを見るモードになるので老眼も悪化します。

 下方視すると眠くなるので、縦書きの本が嫌いです。上から下へ文字を追うと、下へ行くと眠ってしまいます。下方視してする包丁を使った料理が、注意力が落ちるので嫌いになります。

診断 
ご自分が、まぶたの縁を一周するまぶたを閉じる筋肉(眼輪筋眼瞼部)に強い収縮があるかどうかは、目尻が内側に寄り目が小さくなる、目尻が吊り上がり、目を大きく開けたり、上を向くとさらに目尻が吊り上がる。目尻が寄ってきた、上を向きにくい、上向いても眼球の下の白目がでない。
 下まぶたの縁を指で持ち上げると、まぶたが開きにくくなり、眉毛が下がり、頭がボーっとし、近くが見えにくくなり、噛みしめる。下まぶたの縁を指で下げると、上まぶたが開きやすく眉毛も上がり、近くが見えやすくなり、頭がスッキリして、噛みしめなくなることで分かります。
 下まぶた~頬を外下に引くようなテーピングで過ごしてみて、近くが見えやすくなり、頭がスッキリしても、この疾患だと考えられます。鼻の下を伸ばすくせがあり、鼻の下が伸び、鼻の穴の下がみえるようになったのも、下まぶた~頬を下げるために行っています。
 上を見ていて、突然下を見てみて、意識が無くなりそうになるナルコレプシーも、この疾患が原因の一つと考えています。

治療
下まぶたの外れた牽引腱膜を瞼板に固定して、センサーが強く引かれないようにします。

この疾患の軽症、中等度症の人は非常に多く、上まぶたの腱膜性眼瞼下垂症の手術をしたのに、頭がスッキリしない、肩が凝る、噛みしめているなどの、不定愁訴が改善できない原因のかなりの割合を占めいると考えています。頬全体や眉毛下制筋も縮むようになると、頬が上がり眉毛が下がるので眼瞼痙攣と間違えられることもありますし、ボトックスの効かない眼瞼痙攣がこの疾患だと思います。

この疾患があると、上まぶたの腱膜性眼瞼下垂症に対して脳血流を増やすような外れた腱膜を瞼板に固定するような手術で青斑核を刺激して覚醒できるようなアクセルを強める手術しても、瞼の縁の眼輪筋眼瞼部の収縮によるサイドブレーキにより、良い覚醒状態が得られないことを多く経験します。
上まぶたの外れた腱膜を瞼板に固定してアクセルを治し、下瞼の外れた腱膜を瞼板に固定してサイドブレーキを緩める手術をしないと、まぶたを開けて覚醒できるようにならない人は多く(30-50%)いると思います。

参考の神経生理学

顔面の表情筋は、自分の意志で収縮する速筋線維と、自分の意志でなく収縮する遅筋線維で構成されています。通常の骨格筋は、速筋線維と遅筋線維で構成されていると、中に遅筋線維を反射的に収縮させる筋紡錘というセンサーがあります。この構造を利用して起きる膝蓋腱反射というのがあります。膝の下の膝蓋腱をハンマーや手で叩くと、大腿四頭筋の中の筋紡錘が伸ばされ、その伸ばされた刺激(固有感覚と呼びます)が脊髄を回って、大腿四頭筋の遅筋線維を反射的に収縮させているのです。

 

まぶたを閉じる眼輪筋は、眼輪筋眼窩部と外側半分と、眼輪筋眼瞼部の内側半分に別れ、速筋線維と遅筋線維で構成されますが、筋紡錘が内在しません。筋紡錘の役割をするのは、上眼瞼と下眼瞼の中にあるミュラー筋のなのです。上方視して、上眼瞼のミュラー筋のセンサーを引っ張ると、前頭筋や眼輪筋眼窩部の遅筋線維を反射的に収縮させます。強くまぶたを閉じる、下方視すると、下眼瞼のミュラー筋のセンサーを引っ張られ、眼輪筋眼瞼部の遅筋線維を収縮させます。

開瞼失行はパーキンソン病で多く見つかりました。まぶたを閉じる筋肉とまぶたを開ける筋肉との間の調節をしている淡蒼球などに異常があるなど。しかし、パーキンソン病の方の、下眼瞼を引くとまぶたは容易に開きますし、下眼瞼の牽引腱膜を瞼板に縫合して下眼瞼のミュラー筋のセンサーの感度を下げることで開瞼失行は著しく改善しますので、下眼瞼のミュラー筋のセンサーの異常で起きる要素も強いと考えます。

 

 

 

まぶたを閉じる眼輪筋眼瞼部が強く縮むようになると下まぶたの縁にカイコがいるように盛り上がり(涙袋?)ができたり、上まぶたの縁がコリコリしたり突っ張るので、目尻がつり上がり、上を向きにくくなります。